現在、アダルト市場向けの実物大ドールの素材は主に全身シリコーン製、全身TPE製、頭部シリコーン+胴体TPE製の3種類です。これら2つの素材のドールをよりよく理解していただくため、以下ではシリコーンドールとTPEドールの違いを比較分析します。
1. 素材
TPEとシリコーンはいずれもエラストマー素材ですが、TPEは熱可塑性エラストマー、シリコーンは熱硬化性エラストマーです。簡単な識別方法として火を近づけると、シリコーンは白煙を発生し灰白色の灰を残すのに対し、TPEは黒煙を発生し黒い油状の残渣を残します。
TPE素材の基材はSEBSで、SEBSはSBSの水素化生成物です。SBSはスチレン・ブタジエンブロック共重合体で、SEBSで硬度や柔らかさを調整できます。TPEの硬度はSEBSの分子量、オイル充填量、PP含有量などで決まり、シリコーンのショア硬度より数倍低い場合があります。
TPEは高強度・高弾性を持ち、射出成形が可能で用途が広く、環境配慮・無毒安全・着色性にも優れます。ソフトタッチ、耐候性、耐疲労性、耐熱性に優れ、二次成形や分割成形にも適しています。
ドール用シリコーンには付加型シリコーンを使用し、1:1の比率で混合・攪拌後、室温硬化させます。このシリコーンは無毒・無臭・耐老化性があります。
シリコーンは分子構造が高密度で、TPEはスポンジ状に多孔質です。そのためシリコーンは重量調整が容易で、体の曲線や肌の質感など細部表現に優れます。これがシリコーンがTPEよりも耐老化性に優れる理由です。
2. 触感
TPEの弾性は通常のシリコーンを上回り、体の各部位ごとに硬さを自由に調整できます。例えばバストを柔らかくしたい場合は、中空構造にしたり、内部ゲルの硬度を調整して丸みや張りをコントロールできます。技術の進歩により、現在はショアC硬度の超軟質シリコーンでよりリアルな触感を実現できますが、コストは大幅に上昇します。
3. におい
付加型シリコーン原料は無臭ですが、TPEドールは素材由来のゴム臭や香料のにおいがします。香料は主に素材の臭いを除去し、雰囲気を演出するために添加され、天然香料(無毒・環境配慮型)と合成香料があります。合成香料は芳香が強い反面、化学合成品のため人体への影響は保証できません。
4. 表現性
シリコーンはやや硬めのため、細かな造形表現に優れ、人工のしわや細部をリアルに再現できます。TPEは柔らかいため、細部表現ではシリコーンに劣ります。
5. 伸縮性
シリコーンドールはレシピにより3~5倍伸び、TPEドールは6~8倍伸びます。そのためTPEは引っ張り強度に優れ、より大胆なポージングが可能です。シリコーンは無理な動きで破けやすい点に注意が必要です。
6. 耐久性
シリコーンは高温・酸・アルカリに強く、強腐食性物質を除きほとんどの物質に反応しません。TPEは耐高温性が低く、耐老化性もシリコーンに劣ります。
7. 価格
シリコーン原料はTPEの数倍のコストのため、シリコーンドールはTPEドールより大幅に高価です。TPEドールは約¥5,000〜¥8,000から、シリコーンドールは一般に¥10,000以上です。